じりじりと太陽が照る中、カーテンを閉めて外部からの光を遮断する。電気も消せば、其処はまるで映画館のようなムードが漂う。私はベットにもたれかかってるマットの隣に座り、リモコンの再生ボタンを押そうとしていた。


「ちょっと待った」
「え?」
「お前座るところ間違ってない?」


いったい何が間違ってるのかわからなかった私は、頭にはてなマークを浮かべながらもマットに尋ねた。するとマットが膝を開き、ポンポンとその間の床を叩いて合図する。
え、ちょっと待って。其処に座れって…?


「ヤダ。マット変な事するもん」
「絶対しないから」
「…約束破ったら?」
「んー…そうだな。キスするか?」
「もう!」


仕方無くマットの前へと移動し、彼の足の間にちょこんと座った。すると後ろから手が伸びてきて、ぎゅっとマットの腕に包まれる。マットは満足げに笑うと、手を、リモコンを持っている私の手に重ね、再生ボタンを押した。
この部屋は映画館並みに暗い。それでいてこの体勢。正直、最後まで持つか不安だった。マットの身体が密着してる背中は熱を帯びてるみたいに熱い。ドキドキドキドキ…まだ映画が始まっても無いのに胸が騒々しい。


「何ドキドキしてんの?」


マットの挑発的な声が、耳元で響き渡る。急でびっくりした私は「きゃっ」と言って肩を竦めた。その反応にそそられたのかマットの嫌がらせは更に過激化する。


「やっ…嘘、つきっ…」
「何の事?」


そう惚けながらも、キャミの紐をずらされ、露になった肌にマットが吸い付いてくる。更には暇を持て余していた手を服の中に滑り込ませ、胸の膨らみを弄んだ。どうやら映画なんかそっちのけで、此方に夢中になってしまってるようだ。これじゃあビデオ借りてきた意味が無いじゃないか…なんて、心の中で思いながらも、マットのイヤラシイ手に何度もイかされそうになった。


「マットなんて嫌い」
「ははっありがと」


嫌味で言ったつもりなのに、お礼なんか言われたから余計に腹が立った。何をしても、余裕な笑みを浮かべるマットが 憎くて仕方が無い。私はいつもいつも、彼の手の平で踊らされてるのだ。

それでもマットが好きだから、嫌になってしまう。








囚われの